2024.09.02
不動産ニュース
住宅金融支援機構 23年度住宅融資実績
住宅金融支援機構はこのほど、23年度の住宅融資の利用実績等を公表しました。新設住宅着工戸数の減少傾向が続く中、「フラット35」「リ・バース60」も共に利用件数が減少しました。他方、23年度に提供を開始した新メニューが大きな反響を呼んだほか、元日に発生した能登半島地震に関連した融資申請も発生しており、社会情勢の影響による融資ニーズの変化が目立つ結果となりました。
5月24日に発表された、リバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」利用実績を見ると、24年3月末時点で、累計の付保申請戸数は1248億円と拡大傾向が継続。取り扱い金融機関数は同3機関(3.5%)増加し、88機関となりました。
ただし、付保申請戸数は1626戸(前年度比8.5%減)、付保実績戸数は1382戸(同10.5%減)、付保実績金額は218億円(同8.5%減)で、いずれも前年度と比べて減少。これについて同機構は、「明確な要因を挙げることは難しい」としつつ、「借り換え需要が一巡し、申請が減少した点が比較的大きい。また、シニア向けマンションの発売減など、(利用者層向け物件の)供給状況の影響も考えられる」との見解を示しました。
資金使途では、最も多い「注文住宅」が32.4%(同3.6ポイント増)とシェアを拡大しました。全体では5番目に多い「中古マンション」も、7.4%(同1.8ポイント増)で増加傾向を見せました。地域別でみると、「東京圏」が35%(同5ポイント減)、「大阪圏」が12%(同2ポイント減)、「名古屋圏」が3%(同1ポイント減)と、三大都市圏ではいずれも減少しており、利用件数全体のうち地方圏の占める割合が増加しています。
5月28日には、自然災害により住宅被害を受けた人を対象とする「災害復興住宅融資」の23年度実績(速報値)を発表しました。申し込み件数は141件で、融資実行件数は191件、融資実行金額は44.9億円でした。
このうち、「令和6年能登半島地震」で、申し込み件数が65件、融資実行件数が77件、融資実行金額が23.1億円となっています。
同機構は、「フラット35」の23年度利用状況も24年4月末に公表しています。全体の申請戸数は4万783戸で、前年度比39.3%減少しました。実績戸数は3万3107戸(同39.2%減)、実績金額は1兆646億円(同39.1%減)。新設住宅着工戸数の減少が続いたほか、「民間融資機関による金利変動型住宅ローンとの金利差の拡大」(同機構)などが主な要因とみられます。
ただし、子供の人数等に応じて金利を優遇する「フラット35子育てプラス」は好調です。制度を開始した2月13日から3月31日までの申請戸数は2564件で、同期間内における「フラット35」申請戸数全体の43.8%を占めます。また単月でみると、「子育てプラス」を開始した直後の3月は、「フラット35」の申請戸数が前四半期(23年10月~12月)の月平均に対して31.8%増加しました。「子育てプラス」が「フラット35」の利用を促した様子がうかがえました。